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代名詞が読めない―『人を助けるとはどういうことか』Chapter 8(その16)

引き続き章末の「まとめ」から、2つです。(下線はやしろ)


1つめです。


さらにリーダーは、自分たちが組織の一部であること、組織内のどんな変化もそれ自体が変革を伴うことを避けられないと理解すべきだ。 (p.228)
Leaders must also understand that they are part of the organization, and that any changes in the organization will inevitably involve changes in themselves. (p.143)

問題は2点あります。まず、and は絞り込みの意味に取る方が論理が綺麗な気がします。並列でもいいのですが、だとすれば、元の訳は「や」の後ろに呼応する表現がなくて日本語として収まりの悪い文になっているのが問題です。並列にするなら「〜と〜とを」のように、understand that の内容が2つあることが分かるような訳し方のほうがいいかと思います。


そしてもっと大きな問題ですが、元の訳はthemselves をchanges の置き換えと読んでいます。そのため話に筋が通っていません。ここのthemselves はleaders のことです。


こうしました。


さらにリーダーは、自分たちが組織の一部であるゆえに、組織内のどのような変化も必然的に自分自身の変化を伴うことになるのを理解しなければならない。


「リーダーは組織の一部である」→「組織が変化する」→「必然的にリーダーも変化する」という論法です。



2つめです。上のすぐ後ろの文です。


その意味で、変革への取り組みの声をあげた人と同様に、リーダーもまたクライアントなのである。 (p.228)

In that sense they are clients as well as initiators of the change effort. (p.143)

そう読みたいなら、initiators 句の最後、すなわちピリオドの直前にもare が付いていなければいけません。でも、そうはなっていませんね。


clients もinitiators もどちらもthey の補語です。つまり、どちらもthey=リーダーたちのことです。よって、正しくはこうです。


その意味で、リーダーは変革への火付け役であると同時に、クライアントでもあるのだ。



日本語訳:人を助けるとはどういうことか 本当の「協力関係」をつくる7つの原則 原文:Helping: How to Offer, Give, and Receive Help (Amazon.co.jp)




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