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おかしな固有名詞―『人生に必要な荷物 いらない荷物』第一章(その1)

第一章「これだけあれば、幸せなのか?」を見ていきます。原書で対応するのはSection 1ですが、日本語版にならって「章」と呼ぶことにします。章の中でさらに1,2と分かれています。


まず、1の「笑顔をもう一度見つける」から、おかしな固有名詞をピックアップしました。4つ+おまけの計5つです。(下線はやしろ)



1つめ、冒頭の文です。


 映画『シティ・スリッカーズ』でビリー・クリスタルが演じたミッチ・ロビンという人物は、… (p.34)

In the movie City Slickers, Billy Crystal plays Mitch Robbins, … (p.13)

ミッチ・「ロビンス」とした方が、いいでしょうね。



2つめです。デイブのパリでのエピソードからです。


 ある日、僕はカフェに座って、ポートワインのグラスを傾けていた。 (p.40)

I was sitting in a cafe, nusing a glass of Bordeaux, … (p.16)


Bordeaux をポートワインとは言いません。なぜこうなっているのか、あえて変えているのだとしても、意図のよく分からない訳です。ちなみにポートワインとは「ポルトガル北部で産するアルコール分を強化した葡萄酒」(広辞苑より)のことで、「日本では甘味を加えた葡萄酒をこの名で呼んだ」(同)とのことです。むろん、原文にはどちらの意味もありません。Bordeaux があるのはフランスですし、甘口かどうかも定かではありません。


ここは「僕」すなわちデイブが「ええかっこしい」でやっている行いの描写なので、その意を汲んで「ボルドー」と気取るか、または、種類はさして重要でないと判断すれば、単に「ワイン」でいいかと思います。



3つめです。


 一八世紀にセバスチャン・コンフォートは、… (p.42)

In the 18th century, Sebastian Chamfort wrote, … (p.18)

セバスチャン・「シャンフォール」です。18世紀フランスの詩人、モラリストのようです(フランス語版Wikipedia から)。



4つめです。


一九世紀の英国の哲学者トマス・エーリルは、… (p.43)

Thomas Carlyle, the 19th century Scottish philosopher, … (p.19)


スコットランドも英国の一部なのでそれはいいとして、トマス・「カーライル」ですね。


「君の説は面白いが、あのカーライルは胃弱だったぜ」とあたかもカーライルが胃弱だから自分の胃弱も名誉であると云ったような、見当違いの挨拶をした。

という形で、夏目漱石の『吾輩は猫である』にも登場する人物です。誰のことかと思いました。



固有名詞がらみということで、ついでにもう1個です。


二〇世紀の偉大な心理学者であり精神医学者であるアルフレッド・アドラーは、… (p.37)

Alfred Adler, the great 20th century psychologist and educator, … (p.14)


「教育学者」ですね。アドラーを精神医学者と書いても間違いではないと思いますが、少なくとも原文ではそうは言っていません。



日本語訳:人生に必要な荷物 いらない荷物 
原文:Repacking Your Bags: Lighten Your Load for the Rest of Your Life (Amazon.co.jp)


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